資料~LPレコードから
LPレコード「キユーピー・バック・グラウンド・ミュージック」から
「キユーピー・バック・グラウンド・ミュージック」というレコードがあります。以下は、そのライナーノートです。 これを書いたのは植木さんという人。多くの「事実」が語られていると思われます。(以下の引用文中、「事実を述べるのに重要と思われる箇所を赤色にしました。)
バック・グラウンド・ミュージック(BGM)が、環境音楽として ファンクショナル・ミュージック(機能音楽)と共に社会に出たのは 1920年代だったと言われています。第2次大戦中、イギリスのBBC 放送は、音楽によって仕事の能率を高めることを考えて工場向けに バック・グラウンド・ミュージックを放送して効果をあげましたが 音楽産業としてBGMが注目され始めたのは、1950年代になってから です。現在では、喫茶店でも、デパートでも、どこへ行っても音楽 が流れ、まさにBGMの洪水のような賑やかさですが、はたして それらのすべての音楽が、環境音楽の役目を果たしているかどうか は疑問です。環境音楽というのは、その名のように、都会生活者が もつ緊張やストレスを、音楽によってやわらげようというのが特徴 ですが、あまり無責任に音楽を流されては逆にイライラしてしまい ます。音楽というものは、聞いてイライラするものではありません。 ですが、時と場所を間違えると逆の作用をもたらすこともあります。
人々の緊張感をやわらげ、ホッとしたひとときを作るための音楽。 それを音楽番組で表現したら、と考えたのが「キユーピー・バック・ グラウンド・ミュージック」です。1964年(昭和39年)7月にTBS ラジオをキー・ステーションにスタートしたこの番組は、今年79年 の7月には、16年目に入ろうとしている長寿番組になってしまい ました。毎回20曲近くのレコードを流し、番組の最後に今井とも子 アナが、題名を紹介するだけといった、おしゃべりの多い音楽番組 の中では、変わった番組?とされています。
はやりすたりの激しい音楽番組の中で番組開始以来同じスタイル で放送をつづけられたのも、スポンサーのキユーピー株式会社の 辛抱強さによるものですが、その間一定の聴取率を確保できたのは 多くのファンの皆様のたまものと思います。一口に16年といいます が、この間に放送した曲は、16,000曲以上になります。ここで、この 番組の生命とも言うべき、選曲方法をご紹介しておきましょう。
この番組ではモダン・ジャズや純邦楽以外の曲ならば、どんな曲 でもOKという方針ですが、1回使用した曲は最低3ヵ月間は使用しないことにしています。ですから、どんなヒット曲でも1回放送 されると、3ヵ月は放送されません。これが結果として、流行に 左右されない番組と言われる理由といっていいでしょう。曲と曲 との間は2~3秒。もちろんおしゃべりはありませんから、前の曲 と後の曲の、音のつながりをいいかげんにすると番組がつまらなく なります。また、テンポの遅い曲ばかりを並べると、間のびした 感じになりますし、早いテンポのものをつづけると、あわただしい 感じになります。ですから、曲の配列に気を使う必要があります。 1時間をゆっくり楽しんでいただいて、時には一緒に歌っていただ けるような選曲。そして日曜日を心楽しく過ごしていただけたら。 それが制作者の願いです。
さて、この「キユーピー・バック・グラウンド・ミュージック」も 16年目を迎えようとしていますので、何か記念になることはない だろうか、と考えました。そこで思いついたのが、番組と同じよう な形のレコードを作ることでした。幸いにもキング・レコードの 協力で、こんなに素晴らしいレコードを作ることができました。
曲目をご覧いただければおわかりのように、ラヴ・サウンズの シャルマン、レーモン・ルフェーヴル・グランド・オーケストラ。フランス の人気トランペッター、ジャン・クロード・ボレリー。スキャットの女王 ダニエル・リカーリ。ギターのアンドレ・ベニショー。フレンチ・ポップス のジュリアン・バレー・オーケストラなど、おなじみのアーチストが ずらりと勢揃いしている豪華なレコードを作ることができました。 ヴォーカルがないこと、コマーシャルがないことが、番組とは違い ますが、選曲も曲の配列も番組を作る時とまったく同じにいたし ました。「愛よ永遠に」から「しのび逢い」まで、バック・グラウンド・ ミュージックのファンに喜んでいただけるアルバムであると、確信 いたしております。
この第1回のレコードにひきつづき、「キユーピー・バック・グラウンド・ ミュージック」では、第2回目のLPも企画いたしておりますので 番組ともども、ぜひご声援ください。 なお、番組のネット曲*は次の各局です。東京放送(TBS)、札幌テレビ 放送(STV)、青森放送(RAB)、東北放送(TBC)、山形放送(YBC)、 ラジオ福島(RFC)、山梨放送(YBS)、新潟放送(BSN)、信越放送 (SBC)、静岡放送(SBS)、中部日本放送(CBC)、北陸放送(MRO)、 福井放送(FBC)、和歌山放送(WBC)、毎日放送(MBS)、山陰放送 (BSS)、山陽放送(RSK)、中国放送(RCC)、山口放送(KRY)、 西日本放送(RNC)、四国放送(JRT)、南海放送(RNB)、アール・ ケーピー毎日放送(RKB)**、長崎放送(NBC)、熊本放送(RKK)、大分 放送(OBS)、南日本放送(MBC)、琉球放送(RBC)。 では日曜日の午前10時に、またお耳にかかりましょう。 植木文朗
注:ネット曲*/アール・ケーピー毎日放送(RKB)**=それぞれ「ネット局」「アール・ケー・ピー毎日放送(RKB)」の間違いと思われる。
このLPレコード自身のアルバム名として、「キユーピー・バック・グラウンド・ミュージック KEWPIE BACK GROUND MUSIC」と書かれていますが、通常 back ground(バック・グラウンド) ではなく、background(バックグラウンド)と1語として綴るので、このアルバム名は間違えていると言えます。
なお、「700回記念レコード」というものが作られ聴取者にプレゼントされたらしいことを別のページで紹介していますが、時期的にずれが大きいので、このレコードはプレゼント用のレコードとは別のものと推測されます。
また、LPレコード「キユーピー・バック・グラウンド・ミュージック」のジャケットに用いられている飛行船の登場するテレビCM(「アルカリランチ/飛行船」篇と称する物が2種類)が1979年に放送されていたことが、キユーピーマヨネーズCMヒストリーに書かれています。
権利関係から音声は、現在では公開できないとのことです。また、これらCMに「アルカリランチ」という名称が付けられているのは、いずれも30秒のCMの中でナレーションが「アルカリランチ。キューピーマヨネーズ。」の2つ(だけ)あることによるものと思われます。
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